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 第38回 全国伝建協議会総会・研修会 加賀市大会 報告

 
 この時期に毎年、全国の伝統的建造物群保存地区(以下伝建地区)の行政やまちづくり団体などが研修のため一堂に会します。現在、伝建地区は111地区となっており、福井県では熊川宿と小浜西組の2ヶ所です。
 平成26年には、若狭町熊川宿で開催され、昨年が長野県東御市、今年が石川県加賀市開催となりました。今回、近隣の開催地であることから、熊川宿から9名と町職員2名が出席し、他府県の伝建地区のみなさんとの交流を図りました。

と き:平成28年5月25日(水)〜27日(金)
ところ:石川県加賀市・加賀東谷山村集落・加賀橋立船主集落
参加者:11名



 折角だからと、一番前の席に陣取って研修を受けました。



 住民プログラムの最初は、来年度開催地の茨城県桜川市真壁の取組みについて報告がありました。真壁は平成22年度に伝建地区に選定され、直後の平成23年に東日本大震災で大きな被害を受けました。しかしながら、伝建制度での修理事業も進み、現在では60%程度が修理できたとのことです。
 伝建選定から日が浅いこともあって課題も多いとのことですが、来年度の大会に向けて充実した取組みがされるようです。ご成功を祈ります。



 続いて、加賀東谷地区と類似する日本三大秘境にも数えられる徳島県三好市東祖谷地区の活動報告があり、東祖谷の44集落中19が限界集落、14が準限界集落で、高齢化率は60%、移住・定住が大きな課題との報告でした。
 我が熊川宿も少子高齢化が進み空き家対策に取り組んでいることもあって、興味深くうかがいました。仕事を創出しないと生活ができないジレンマがあり大きな課題です。



 住民と行政、そして大学が緊密なネットワークを構築し、石川県は伝建選定件数全国一位、8ヶ所の選定を受けています。



 情報交換会は、異なる地区の皆さんが入り交じって着席し、他地区との情報交換を行います。
 来年度開催の桜川市さんは22名の方が大挙してお見えでした。中には案内ボランティアの方も参加されており、来年にかける意気込みが伝わりました。
 また、この伝建協の大会や全国町並みゼミでも、平成26年度に開催された伝建協熊川宿大会が話題になりました。ご馳走もさることながら、お客様への手作りのおもてなしもお褒めいただいています。現在でも若狭の民宿へ何度も足を運んでおられる方もあります。



 26日の午前中、現地視察が行われました。7時半には出発の準備を終え、2伝建地区に分かれて参加しました。熊川宿からは6名が加賀橋立船主集落を、5名が加賀東谷山村集落を視察しました。

 加賀橋立は、北前船の船主や船頭が多く居住し、莫大な財を築いた集落です。明治5年の大火で集落の大部分を焼失するもいち早く立て直り、より豪壮な住宅を再建し復興を遂げました。
 船主の住居は、畳の間が9部屋以上あり、それに蔵や庭が付いていて、とても広くて家具や装飾も立派でした。
 北前船の里ガイドさんに歴史や建物の特徴について解説頂きながら散策しました。また、石川工業高等専門学校、金沢工業大学の学生さんが、散策拠点や公園の整備、住宅の活用、観光客が入りやすいようサインを整備するなど、活動内容を発表してくれました。



 熊川宿の周辺もほとんどが山林で何もない環境ですが、一方で豊富な自然があります。自然の有効活用について問題意識を持って研修しました。



 加賀東谷は、加賀藩の御用炭すべてを生産していた山村集落で、火災などの災害に見舞われながらも、4集落が豊かな山林や河川、旧道と共に残されています。大きな切妻造りの屋根に煙出しを設け、赤瓦で葺いた農家が集まっています。



 お昼のお弁当、お腹がすいていてペロリ完食。ごちそうさまでした。



 大会のためにみんなが一生懸命に練習してくれたことが伝わってきました。



 北前船によるつながりや伝建地区間のつながりを日本・世界各地を例として具体的に講演いただきました。伝統的建造物としての価値を保ち伝えること、まちづくりに関わる方々の世代をつなぐ活動が大切と述べられました。
 また、熊川宿の藤井さんの家屋修理や子ども語り部がスクリーンで紹介されていました。



 伝建地区内の(1)空き家活用、(2)防災対策、(3)生業づくり、(4)後継者育成の4つの分科会に分かれ意見交換がされました。
 各地からは事前レポートや当日の意見発表で問題点や具体的に工夫している事項等の情報交換が活発に行われ研鑽しました。
 住民の参加は現役世代の仕事の関係もあって、26日の夕方までの参加となり帰路につきました。

(撮影・記事:まちづくり委員会 宮本哲・岡本宏・松見忠)

 

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